yuuna log's 5th edition.

旅の召還士の記録。

LRAの基準

「LRAの基準」というのが憲法学のお話であります。これは人権規制立法の審査において違憲判断に使われる基準の一つです。

LRAはLess Restrictive Alternative(より制限的でない他の選びうる手段の基準)の略です。端的にいえば「他に取り得る手段がないときにこれは本当は違憲だけど合憲とする」ということです。

別に憲法学の話をしたいわけでもなく、話をしたいのは最近のスタートアップにおけるプロダクトの話です。私が前職にいた2年ぐらい前からエンジニア主導のプロダクトを作らせる風潮が非常に強く、「独立しない/自分のプロダクトをもっていないエンジニアは馬鹿」みたいな空気が流れていました。

で、いろいろiPhoneアプリとか似たようなサービスが出てきては捨てられ、出てきては捨てられということが起きています。これはなんで起きてるのかなということを考えていたときにふと"LRA"の話が頭に出てきました。世の中のサービスは大体において他のサービスに置き換えが可能で、より便利になるつれて他のサービスにユーザーは移動してしまう、ということです。他に選びうる手段があるときに、人は新しく、個々人のスポットにはまるサービスに移動してくのだろう、という感じです。

なので、スタートアップはプロダクトをつくるときにどんどんターゲットは狭小化していき、ついにはごく少数の人間にとって"LRA"なプロダクトになってしまうわけです。するとマスをとれるプロダクトは皆無になり世の中はマイナープロダクトだらけになる……ような世界になっていくのかな……という過激な考えが頭をよぎります。

これを避けるためには、大量の工数を掛けて、マイナーな人々をすべて拾うようにすればいいと思いがちですが、それは現実的には不可能です。ではどうすればいいか。それは自分のプロダクトに個々人にスタイルをあわせてもらい、自分のプロダクトが"LRA"なプロダクトに「感じて」もらうようにすることでしょう。これをするために人々を気持ちよくある意味「調教する」ことが必要です。

調教についてはまた別なときに話すとしても、ターゲットはマイナーではなくてメジャーであるべきということを頭においてプロダクトをつくって欲しいなとおもう今日このごろでした。